日本映画監督協会・下町ダニーローズ合同句会十月例会報告
10月24日午後6時より池袋ルノアール・パルコ横店にておこなわれた。出席者は、談四楼(駄兄)、一琴(横目家)、阿部(親子丼)、夏未(夏未完)、鈴木(写雅句)、内藤(荒媚庵)、高田(紀之元)、根本(敷島)、志らく(仏蘭木)、片岡(紫香)、莉加(酒井)、投句が高(生獣)、入月亭(入月)、岡。計75句。この中から今月の天地人、佳作3句、ユーモア賞、駄句を選びます。
| 兼題(あらかじめ出されていた季語。ようは宿題で詠んでくるということ) |
=「紅葉狩」「晩秋」「胡桃」
|
|
| 席題(当日その場で出された季語。即興で詠むということ) |
=「檸檬」「秋の雨」「火祭り」
|
|
天 |
パステルの 朱(あか)買い足して 紅葉狩り |
横目家(一琴) |
|
地 |
茶箪笥に 住みつく割れぬ 胡桃かな |
仏蘭木(志らく) |
|
人 |
街景色 銀糸でつぐむ 秋の雨 |
紫香(片岡) |
|
佳作 |
ひとり寝の 軒に寂しき 秋の雨 |
荒媚庵(内藤) |
|
佳作 |
ふがいない 檸檬かじりて 老いた顔 |
莉加(酒井) |
|
佳作 |
火祭りの 隅にぼんやり 深い闇 |
紫香(片岡) |
|
|
|
| ユーモア賞 |
晩秋に 詩ごころ湧くも 詞(ことば)枯れ |
入月亭(入月) |
とうとう横目家が天に輝いた。思い起こせば彼が句会に参加したのが一年前のまだ監督協会単独句会の時代。初参加で駄句を連発し、映画監督達に「駄句の師匠」と呼ばれていた。それが僅か一年で天である。偶然ではない。日頃の勉強の賜物である。パステルに対し、疑問の声が上がったが、それはパステルカラーに赤はないということだ。でも、この句のパステルはクレパスのことである。だから間違っていない。実に可愛らしい句である。
地は宗匠の句。今回、間違いなく天がとれると思っていた句である。「住みつく割れぬ」が上にも下にもかかっていて我ながら秀逸な句だと自信があった。しかし横目家の可愛い句に5票差で破れた。
問題は人の紫香の句。間違っている。「つぐむ」ではない。「つむぐ」である。間違いに気がついた選者は点を入れなかった。間違った句に点を入れてしまった人達は猛省していただきたい。もし「つむぐ」と詠んでいたら良い句であった。
佳作の荒媚庵の句は、実に侘しい良い句である。ただインパクトに欠けた。莉加は久々の入賞。ユーモア賞に選ばれても不思議でない面白い句だ。「ふがいない」という言葉を最近覚えたから使いたかったからというコメントに場内は爆笑と相成った。
紫香の佳作は優秀な句だ。宗匠が今月の天に選らんだぐらいである。火祭りに関しては皆、男らしさ、天狗様などを詠んでいたが、静かに情景を詠んだのはこの句だけであった。
今回、盗作事件が起きた。批判されたのはなんと私、宗匠。「紅葉狩り」で宗匠はこう詠んだ。
紅葉狩 なにが何やら 万華鏡
夏未完が思わず天に入れた句である。この句に対して莉加が山頭火のぱくりだと主張。宗匠はすぐに山頭火を参考にしたことを認めた。これは盗作ではなく、あくまでも参考。ラジオやコラムでも私は山頭火の俳句が好きだと書いている。一番好きなのが「何が何やらみんな咲いてゐる」。これが好きだという事も書いている。575になっていない自由句だ。この凄い表現を私が詠んだらどうなるかと思い詠んだのが「紅葉狩 なにが何やら 万華鏡」。それほどの句ではない。しかし断固、盗作でないと主張します。
ユーモア賞はかなりばらけた。そんな中で入月亭の句が選ばれた。句を詠む人が皆陥る心を面白く詠んだ。
それでは宗匠が天に選んだ句に与えられる今月の特別賞の発表。
特別賞 火祭りの 隅にぼんやり 暗い闇 紫香(片岡)
それぞれの題のトップ
|
「紅葉狩り」 |
パステルの 朱(あか)買い足して 紅葉狩り |
横目家(一琴) |
|
「晩秋」 |
晩秋の 文字追うだけの 読書かな |
仏蘭木(宗匠志らく) |
|
「胡桃」 |
茶箪笥に 住みつく割れぬ 胡桃かな |
仏蘭木(志らく) |
|
「檸檬」 |
ふがいない 檸檬かじりて 老いた顔 |
莉加(酒井) |
|
「秋の雨」 |
街景色 銀糸でつぐむ 秋の雨 |
紫香(片岡) |
|
「火祭り」 |
火祭りの 隅にぼんやり 深い闇 |
紫香(片岡) |
それでは今月の駄句。
|
駄句 |
食卓に 並ぶレモンの 切ったヤツ |
横目家(一琴) |
なんと天をとった人間が同時に駄句もとってしまった。ある意味快挙である。当人はまさか駄句になるとは夢にも思っていなかったらしい。この句は、見たままで赴きもなにもない。普通だったら無視される句だが、最後の「切ったヤツ」が人々の怒りをかってしまった。参加者11人中4人が駄句に選んだダントツの駄句であった。せっかく天をとったのに、うなだれる横目家であった。
本当はもっと酷い句があった。宗匠が駄句に選んだ句だ。
一杯の 紅葉とレモン 陽がまぶし
親子丼(阿部)の句である。檸檬が季語であるのに何故に紅葉を入れるか。さらに「陽がまぶし」とは夏だし、だいたい「まぶし」ではなく「眩しい」である。まぶしとは「ひつまぶし」とかに使う言葉だ。なにより意味が全くわからない。
すると親子丼の言い訳が凄かった。言い訳というか、当人の書き間違いだったのだ。「紅葉」ではなく「紅茶」。つまり「一杯の 紅茶とレモン 陽がまぶし」なのだ。親子丼に笑いの神が降りてきたのであった。まあ、紅茶だとしても良い句ではない。「紅茶とレモン」では季語が全く目立たない。俳句とは季語を詠むものである。
今回は前回に続き上位陣の駄兄(談四楼)が不調。二回連続天をとった勢いやどこに。敷島(根本)も不調。「選ぶ人のセンスがなぁ」と呟く。自分のセンスを曲げずに、この句会ではどういう句が好まれるか考える必要があるかもしれない。
総合得点これは各人がこの日、6句詠んで合計で何点稼いだかを争うものです。
野球でいうところの打点。
ちなみに天5点、地4点、人3点、佳作1点、駄句マイナス1点。
|
1位 |
仏蘭木・志らく |
40点 |
|
2位 |
紫香・片岡 |
29点 |
|
2位 |
横目家・一琴 |
29点 |
|
4位 |
荒媚庵・内藤 |
17点 |
|
5位 |
夏未完・夏未 |
12点 |
|
6位 |
莉加・酒井 |
10点 |
|
7位 |
親子丼・阿部 |
7点 |
|
8位 |
駄兄・談四楼 |
7点 |
|
9位 |
敷島・根本 |
5点 |
|
9位 |
紀之元・高田 |
5点 |
|
9位 |
入月亭・入月 |
5点 |
|
12位 |
生獣・高 |
4点 |
|
13位 |
岡 |
3点 |
|
13位 |
写雅句・鈴木 |
3点 |
今月は宗匠の圧勝であった。40点はかなりの高得点。詠んだ6句全てに点が入った。横目家は駄句がなければ2位になれた。紫香はかなり頑張った。上位常連の写雅句が絶不調。親子丼は芸風を変えたわりにはいつもと同じ。夏未完は点が安定してきた。荒媚庵が少々不調。
1月〜10月ここまでの総合得点
|
1位 |
仏蘭木(宗匠志らく) |
234点 |
|
2位 |
荒媚庵(内藤) |
211点 |
|
3位 |
横目家(一琴) |
148点 |
|
4位 |
写雅句(鈴木雅巳) |
137点 |
|
5位 |
駄兄(立川談四楼) |
134点 |
|
6位 |
紫香(片岡) |
108点 |
|
7位 |
夏未完(夏未) |
97点 |
|
8位 |
十州(辻 伸一) |
94点 |
|
9位 |
敷島(根本順善) |
60点 |
|
10位 |
莉加(酒井莉加) |
57点 |
|
11位 |
入月亭(入月謙一) |
46点 |
|
12位 |
紀之元(高田紀和栄) |
43点 |
|
13位 |
親子丼(阿部能丸) |
38点 |
|
14位 |
山咲小春 |
36点 |
|
15位 |
鵞樹丸(村上) |
35点 |
|
16位 |
生獣(高慎太郎) |
31点 |
|
17位 |
箔長(長宗我部) |
27点 |
|
18位 |
三遊亭楽春 |
マイナス9点 |
とうとう宗匠が1位に抜け出た。今年の句会は来月で最終回。宗匠が逃げ切ることが出来るか。それとも荒媚庵が奇跡の大逆転となるか。その差23点である。優勝はこの二人にしぼられた。あとは3位入賞。今月で3位に躍り出た横目家がそのままいくか。写雅句、駄兄が復活するか。6位の紫香にもチャンスはある。
続いては俳句率。野球でいうところの打率。(規定詠み句30句。1月から全て参加して詠むと60句。その半分の30句を規定詠み句とする。30句にみたない者は表記されず)俳句率の計算方法。総合得点÷詠んだ句数。
俳句率
|
1位 |
仏蘭木(宗匠志らく) |
3割9分0厘 |
|
2位 |
荒媚庵(内藤) |
3割7分0厘 |
|
3位 |
紫香(片岡) |
3割2分7厘 |
|
4位 |
駄兄・談四楼 |
2割9分7厘 |
|
5位 |
十州・辻 |
2割8分4厘 |
|
6位 |
写雅句(鈴木) |
2割5分3厘 |
|
7位 |
横目家(一琴) |
2割4分6厘 |
|
8位 |
鈴木夏未 |
1割7分9厘 |
|
9位 |
莉加・酒井 |
1割1分1厘 |
|
10位 |
鵞樹丸(村上) |
1割0分6厘 |
|
11位 |
敷島・根本 |
1割0分5厘 |
|
12位 |
入月亭(入月) |
1割0分2厘 |
|
13位 |
紀之元(高田紀和栄) |
0割7分5厘 |
|
14位 |
親子丼(阿部) |
0割7分0厘 |
規定外
|
| 小春、箔長、生獣、岡、楽春は規定読み数に足りません |
俳句率でも宗匠が1位。果たして来月、荒媚庵の猛攻あるかどうか。
入賞回数(野球でいうホームラン)今回からこれまで何回入選したかを掲載する。
入賞回数
|
1位 |
荒媚庵(内藤) |
12回(天1回、地2回、人4回、佳作5回) |
|
1位 |
仏蘭木(宗匠志らく) |
12回(天2回、地2回、人1回、佳作7回) |
|
3位 |
写雅句(鈴木雅巳) |
5回(地2回、人1回、佳作2回) |
|
3位 |
十州(辻 伸一) |
5回(天1回、地1回、人1回、佳作2回 |
|
3位 |
駄兄・談四楼 |
5回(天3回、佳作2回) |
|
3位 |
紫香(片岡) |
5回(人2回、佳作3回) |
|
7位 |
横目家(一琴) |
4回(天1回、地1回、佳作2回) |
|
8位 |
夏未完(夏未) |
3回(地1回、佳作2回) |
|
9位 |
莉加・酒井 |
3回(佳作3回) |
|
10位 |
入月亭(入月) |
2回(地1回、佳作1回) |
|
10位 |
敷島・根本 |
2回(佳作2回) |
|
10位 |
紀之元・紀和栄 |
2回(天1回、佳作1回) |
|
10位 |
鵞樹丸(村上) |
2回(天1回、佳作1回) |
|
10位 |
生獣(高) |
2回(佳作2回) |
|
15位 |
箔長(長宗我部)
山咲小春
親子丼(阿部) |
各1回 |
ホームラン王争いも熾烈。宗匠と荒媚庵の一騎打ち。