第四回 日本映画監督協会・下町ダニーローズ合同句会

 第四回日本映画監督協会・下町ダニーローズ句会がルノアール池袋パルコ横店のマイスペースでおこなわれた。

 4月の句会は監督の大半が休み。根本、辻、村上監督、酒井莉加、三遊亭楽春、鈴木夏未、高慎太郎が投句。出席者は柳家一琴、入月謙一、阿部能丸、片岡一郎、内藤忠司、初参加の長宗我部陽子、カメラマンの鈴木雅巳、談四楼夫人の高田紀和栄、前回投句で参加し今回初出席の立川談四楼、そして宗匠の志らくである。ほとんどダニーローズの句会となってしまった。

 今回から俳号を決めることになった。決定した人だけ発表しよう。一琴が横目家。入月が入月亭、阿部が親子丼、片岡が紫香、内藤が荒媚庵(アラビアンナイトの洒落)鈴木が写雅句、紀和栄が紀之元、談四楼が寸志(前座の頃の名前)、長宗我部が栢長、私志らくが仏蘭木(フランキー)。

それでは入選作の発表。全部で81作の中から投票で選ばれた上位6句である。

兼題(あらかじめ出されていた季語。ようは宿題で詠んでくるということ)
=「蝶々」「風船」「朧月」
席題(その場で出された季語。即興で詠むということ)
=「母の日」「麦」「鯉幟」


湯浴みする 兎の声や 朧月 辻伸一

母の日は 達者と達者 それでよし 写雅句(鈴木)

蝶々に つられて猫が ふわり飛ぶ 栢長(長宗我部)

佳作
膨らめば 子の顔隠す 紙風船 仏蘭木(志らく)

佳作
早々と 絽を身にまとう おぼろ月 紫香(片岡一郎)

佳作
君が華 蝶々宿りし 髪飾り 酒井莉加

 「天」は投句であった。映画監督らしい映像的なメルヘンチックな句。天か三つ、人がひとつ入り断トツであった。しかし細かい点は入らず、つまり心を打たれた人と、あざといと思い避けた人とがいたことになる。湯浴みを素敵ととるか作為的ととるかで評価が分かれるであろう。「地」は写雅句(鈴木)が締め切り時間を若干オーバーして飛び込みで書いた句であった。写雅句は駄句になるのではないかと心配していたらしいが、単純明瞭なところがかえって高評価につながった。人は初参加の長宗我部の作。宗匠の佳作とは僅か一点差での「人」。まるで御伽話のような句である。初参加での「人」。実力かビギナーズラックか。次回にその答えは出るでしょう。


 宗匠の作が佳作でかろうじて入選した。かなりの自信作であった。私の思うところの良い句とは、あまり狙わず、ごく当たり前の情景を実に詩的に表現した句である。ここのところこの句会は感動させようと捻った句が多くなってきた。素直な句をちゃんと見るべきだ。ただし標語みたいな句は本来は問題外である。紫香(片岡)の句は「早々と」という表現がいい。しかし絽という季語が入ってしまい、季語がふたつになり、点が伸び悩んでしまった。酒井莉加は今年に入って初めての入選。「宿りし」という言葉が勝因。参加者10人のうち半数の5人の支持を得たのだが、細かい点ばかりで佳作とまりとなってしまった。宗匠だったらこう詠む。「髪飾り 蝶々宿りし きみが花」。


 ほかにも秀作があった。宗匠が忘れられないのが鈴木夏未の「蝶々を 許せ許せと追う旦那」と横目家(一琴)の「口すぼめ そっとキスする紙風船」。この2句である。「旦那」という表現が面白い。実にコミカルな句だ。一琴の句は一琴だとわかった途端気持ち悪くなった。

 それでは駄句の発表。駄句はここのところ楽春が独走。毎回あまりのくだらなさに参加者全員のたうちまわっている。今回も投句3句のうち2句にまんべんなく駄句の点がはいった。

駄句
関西の 笑いの大御所 ミヤコ蝶々 三遊亭楽春
 酷い。駄洒落だし、字余りだし。でも楽春の句は会場の空気がなごむのでこの道をひたすら突き進んでいただきたい。

 楽春が駄句王なので皆安心をしていたら、中には楽春の句は敢えて無視して、他の句に駄句を投票してきた人もいる。長宗我部は談四楼の自信作「ゆらゆらと うさが晴れゆく蝶々舞う」を駄句に選んだ。談四楼はおもいっきりへこんでいた。かくいう宗匠も「擦り硝子 今宵いつでも朧月」というまあまあの句に駄句が一票投じられた。片岡である。楽春のミヤコ蝶々よりも酷いのかと問うと、「面白みがない」との答え。宗匠の面目丸つぶれである。
最後に宗匠が天に選んだ句に与えられる特別賞の発表。

特別賞 蝶々に つられて猫が ふわり飛ぶ 栢長(長宗我部)


総合得点これは各人がこの日、6句詠んで合計で何点稼いだかを争うものです。

ちなみに天5点、地4点、人3点、佳作1点、駄句マイナス1点。

1位
 紫香(片岡一郎)  20点

2位
 辻 伸一  19点

3位
 酒井莉加  15点

3位
 横目家(柳家一琴)  15点

3位
 写雅句(鈴木雅巳)  15点

6位
 栢長(長宗我部)  14点

7位
 仏蘭木(宗匠志らく)  12点

8位
 荒媚庵(内藤忠司)  10点

9位
 寸志(立川談四楼)   6点

9位
 鈴木夏未   6点

11位
 親子丼(阿部能丸)   5点

11位
 根本順善   5点

13位
 入月亭(入月謙一)   4点

14位
 紀之元(高田紀和栄)   0点

14位
 高田紀和栄   0点

14位
 村上靖子   0点

14位
 高慎太郎   0点

14位
 三遊亭楽春  マイナス6点

紫香(片岡)が6句詠んだうち5句になんらかの点が入り、トップとなった。上位常連の荒媚庵(内藤)と仏蘭木(志らく)は不調であった。


1月〜4月ここまでの総合得点

1位
 荒媚庵(内藤)  92点

2位
 仏蘭木(宗匠志らく)  80点

3位
 写雅句(鈴木雅巳)  75点

4位
 辻 伸一  54点

5位
 横目家(一琴)  53点

6位
 紫香(片岡)  40点

7位
 鈴木夏未  36点

8位
 山咲小春  26点

9位
 根本順善  25点

10位
 入月亭(入月亭)  22点

10位
 酒井莉加  22点

12位
 親子丼(阿部)  16点

13位
 寸志(談四楼)  15点

13位
 村上靖子  15点

15位
 紀之元(高田紀和栄)  14点

15位
 栢長(長宗我部)  14点

17位
 河合謙介   9点

18位
 平地レイ   5点

19位
 高慎太郎   4点

20位
 三遊亭楽春   マイナス8点


続いては俳句率。野球でいうところの打率。つまり総合得点を詠んだ句の回数で割った数字。この数字が高ければ参加回数が少なくて総合点が低くても優秀だということになる。但し1年12回の半分6回出席しなければ規定打席に達していないということにする。表彰はされないということ。

俳句率

1位
 荒媚庵(内藤)  4,38

2位
 写雅句(鈴木)  4,166

3位
 仏蘭木(宗匠志らく)   3,333

3位
 紫香(片岡)  3,333

5位
 辻 伸一  3,00

6位
 栢長(長宗我部)  2,333

7位
 横目家(一琴)  2,208

8位
 山咲小春  2,16

9位
 鈴木夏未  1,714

10位
 寸志(談四楼)  1,666

11位
 河合謙介  1,50

12位
 根本順善  1,190

13位
 酒井莉加  0、916

13位
 入月亭(入月)  0,916

15位
 親子丼(阿部)  0,888

16位
 村上靖子  0、833

16位
 平地レイ  0、833

18位
 紀之元(高田紀和栄)   0、666

19位
 高慎太郎    0,444

20位
 三遊亭楽春  0,00

入賞回数(野球でいうホームラン)今回からこれまで何回入選したかを掲載する。
入賞回数

1位
 写雅句(鈴木雅巳)  5回

2位
 仏蘭木(宗匠志らく)  4回

2位
 荒媚庵(内藤)  4回

4位
 辻 伸一  3回

5位
 紫香(片岡)  2回

6位
 入月亭(入月)
 横目家(一琴)
 村上靖子
 根本順善
 鈴木夏未
 高田紀和栄
 酒井莉加
 栢長(長宗我部)
 各1回