第8回 日本映画監督協会・下町ダニーローズ合同句会

第8回日本映画監督協会・下町ダニーローズ合同句会報告

 第8回の句会が8月21日午後6時よりルノアール池袋パルコ横店マイスペースにて開催された。参加者は敷島(根本順善)、写雅句(鈴木雅巳)、駄兄(談四楼)、紀之元(高田紀和栄)、親子丼(阿部能丸)、夏未完(鈴木夏未)、荒媚庵(内藤忠司)、紫香(片岡一郎)、山咲小春、岡仁(兼題のみ)、そして宗匠の仏蘭木(立川志らく)。投句は横目家(柳家一琴)、入月亭(入月謙一)、莉加(酒井莉加)、箔長(長宗我部陽子)村上靖子、十州(辻伸一)。


それでは87句の中から入選作品を紹介しよう。

兼題(あらかじめ出されていた季語。ようは宿題で詠んでくるということ)
=「墓参り」「蜩(ひぐらし)」「朝顔」
席題(当日その場で出された季語。即興で詠むということ)
=「初秋(はつあき)」「踊り」「天の川」


ぬる燗と 友に手向けの ひと踊り 駄兄(談四楼)

足浸し 待ち人想う 天の川 夏未完(夏未)

墓参り 祖父の猫背と 夕まぐれ 荒媚庵(内藤)

小さな手 アイスの棒に 墓参り 紫香(片岡)

佳作
父母と来て 次は子と来る 墓参り 山咲小春

佳作
はしゃぐ孫 水鉄砲の 墓参り 仏蘭木(宗匠志らく)

佳作
朝顔や 庭を絵にする 目覚め時 仏蘭木(宗匠志らく)

佳作
朝顔は 口をつぐんで 死ぬるなり 十州(辻)


天は今年初、二回続けて獲得、駄兄であった。前回同様、ちょっと物悲しい句だ。「ひと踊り」という表現が効いた。美空ひばりの「越後獅子の歌」にも出てくる。踊りと言うものが陽気なのに、ひと踊りとくると物悲しくなる。それを「手向け」と詠む事によってより悲しさが強調された。

地は夏未完。初めてのトップ3入りである。相当勉強しているように見える。天の川に足を浸たすという発想は女の子でないと出てこないものだ。

 人は同点の為2句。荒媚庵の句は「猫背と夕まぐれ」がいいのか「猫背に夕まぐれ」がいいのか。猫背に夕まぐれの方が情景が浮かんできて俳句としては上等だと思うのだが、猫背と夕まぐれに敢えてしたことにより、新しい俳句になった感もある。

紫香の句は宗匠が天に入れた。「禁じられた遊び」の世界である。こういった優れた句にもっと点が入るようにならないといけないと私は思う。

佳作は同点の句があった為4句になった。小春の句は、語呂が良く多くの人の賛同を得た。宗匠の墓参りの句は自信作であったが、あまり点が伸びなかった。はしゃぐ孫という表現が面白くなかったのかもしれない。もうひとつ朝顔の句は全く自信がなかった。「目覚め時」という表現が野暮。十州の句は荒媚庵が天に入れたが、「朝顔は」が駄目。文章だ。「朝顔や」にするべき。私ならこう詠む。「朝顔や 口をつぐみて 死ぬるなり」


今回からユーモア賞を設けた。監督協会単独の頃はあった賞で、8割方宗匠がとっていた。ユーモア賞とは、俳句としてはイマイチだが、思わず吹き出してしまった句に与える賞である。ここのところ駄洒落の句を連発する親子丼対策といってもいい。

ユーモア賞

立川流 踊り踊れずまだ前座 横目家(一琴)


 宗匠からすると別に面白い句だとは思えない。横目家も時間に追われて適当に詠んだのであろう。なにしろ横目家は地方からの投句である。7時から高座にあがらなくてはならないというのに6時半に席題を伝え、メールで詠ませたのだからちゃんと詠めるはずもない。ちなみに宗匠が選んだユーモア句は
夜遊びの 朝顔昼に そっと咲き   紫香(片岡)

これじゃあ昼顔だよと突っ込みをいれたのは駄兄(談四)。朝顔を擬人化していて俳句としては駄目なのだが、おもわずニコッとしてしまう句である。


それでは宗匠が天に選んだ句に与えられる今月の特別賞の発表。

特別賞 小さな手 アイスの棒に墓参り 紫香(片岡)
 



それぞれの題のトップ

「墓参り」
墓参り 祖父の猫背と 夕まぐれ 荒媚庵(内藤)

「蜩」
なく訳は そのひぐらしの さみしさよ 紫香(片岡)

「朝顔」
朝顔は 口をつぐんで 死ぬるなり 十州(辻)

「天の川」
足浸し 待ち人想う 天の川 夏未完(夏未)

「踊り」
ぬる燗と 友に手向けの ひと踊り 駄兄(談四楼)

「初秋」
初秋や 庭にしなびた 児のプール 仏蘭木(宗匠志らく)

「初秋」
初秋の 風来る窓を 君は閉め 親子丼(阿部)


 初秋は同点のため2句。宗匠の句はとってもいい。これが入選しないとは。それ以上に驚いたのは親子丼の句が高得点を得たことだ。駄洒落連発に宗匠が怒っていると思い、本格的に今回は詠んだそうだ。ちなみに怒っていたのは私ではなく全員である。だけど、駄洒落の句を親子丼がひとつも詠まないとちょっと寂しい。ひとつぐらいは詠んでね。

 今回親子丼はいずれの季語に対しても「君」をテーマに句を詠んだ。この初秋の句より私は「背を向けて ええじゃないかと 君踊り」の方に点を入れた。数段、こちらの方が優れている。「初秋」の句は、「初秋の」で区切っているのがよろしくない。最初の五文字の中で言葉は完結しているほうが句としては詠みいいからだ。だいたい初秋の風がこようがどうしようが、親子丼は家の窓を閉めっぱなしにしている。家の中に相当怪しい品物があるらしく、誰も彼の家に入ったものはいないのだ。



それでは今月の駄句。同点で2句選ばれた

駄句
蜩が 惜しむ暑さに もうアキた 写雅句(鈴木)

駄句
初秋や 朱に色染め 夕日が笑う 莉加(酒井)
  写雅句の句は駄洒落。でも悪くはない。ただ「あきた」を「アキた」をカタカナにしたのが人々の、特に落語家のひんしゅくを買ってしまった。

 莉加の句は 映画「三丁目の夕日」をイメージしたのだろうが、字あまりで平凡な擬人化のため、駄句になってしまった。



 
総合得点これは各人がこの日、6句詠んで合計で何点稼いだかを争うものです。

野球でいうところの打点。

ちなみに天5点、地4点、人3点、佳作1点、駄句マイナス1点。

1位
 駄兄・談四楼  26点

1位
 紫香・片岡  26点

3位
 仏蘭木・志らく  20点

4位
 夏未完・夏未  14点

5位
 岡  12点

5位
 十州・辻  12点

7位
 横目家・一琴  11点

8位
 荒媚庵・内藤  10点

8位
 山咲小春  10点

10位
 親子丼・阿部   8点

11位
 敷島・根本   6点

11位
 写雅句・鈴木   6点

11位
 箔長・長宗我部   6点

14位
 葛樹丸・村上   3点

15位
 紀之元・高田   1点

16位
 莉加・酒井   0点

16位
 入月亭・入月   0点


 岡が兼題だけの3句で10点を稼いだ。仕事の時間の関係で席題が詠めないのは辛いが、今後点数を伸ばしてくる可能性ありである。莉加は点を獲得していたのだが駄句をとってしまったがために0点となった。入月亭は詠んだ句がひとつもかすりもしなかった。入選を果たした後、また下降線をたどっている。次回、挽回を期待する。


1月〜7月ここまでの総合得点

1位
 仏蘭木(宗匠志らく)  176点

2位
 荒媚庵(内藤)  175点

3位
 駄兄(立川談四楼)  126点

4位
 写雅句(鈴木雅巳)  115点

5位
 横目家(一琴)  100点

6位
 十州(辻 伸一)   94点

7位
 紫香(片岡)   76点

8位
 鈴木夏未   67点

9位
 敷島(根本順善)   49点

10位
 莉加(酒井莉加)   43点

11位
 入月亭(入月謙一)   41点

12位
 紀之元(高田紀和栄)   36点

12位
 山咲小春    36点

14位
 箔長(長宗我部)   27点

15位
 生獣(高慎太郎)   22点

16位
 親子丼(阿部能丸)   22点

17位
 村上靖子   21点

18位
 三遊亭楽春  マイナス9点

 総合得点でついに宗匠仏蘭木が1位に躍り出た。得点差僅かに1点。駄兄が物凄い勢いで迫ってきている。写雅句がここのところ伸び悩んでいる。紫香は参加するたびに高得点をマーク。


続いては俳句率。野球でいうところの打率。(規定詠み句24句。1月から全て参加して詠むと36句。その半分の18句を規定詠み句とする。18句にみたない者は表記されず)俳句率の計算方法。総合得点÷詠んだ句数。

俳句率

1位
 荒媚庵(内藤)  3割8分8厘

2位
 駄兄・談四楼  3割8分1厘

3位
 仏蘭木(宗匠志らく)  3割6分6厘

4位
 紫香(片岡)  3割1分6厘

5位
 十州・辻  2割8分4厘

6位
 写雅句(鈴木)    2割7分3厘

7位
 横目家(一琴)  2割3分8厘

8位
 鈴木夏未  2割0分8厘

9位
 敷島・根本   1割0分8厘

10位
 莉加・酒井  1割0分2厘

11位
 入月亭(入月)  0割9分7厘

12位
 紀之元(高田紀和栄)  0割8分0厘

13位
 葛樹丸・村上  0割7分0厘

14位
 親子丼(阿部)  0割5分2厘

15位
 親子丼(阿部)  0割4分3厘
規定外
  小春、箔長、生獣は規定読み数に足りません
駄兄が宗匠を抜いて2位にあがった。

入賞回数(野球でいうホームラン)今回からこれまで何回入選したかを掲載する。
入賞回数

1位
 荒媚庵(内藤)  10回(天1回、地2回、人3回、佳作4回)

1位
 仏蘭木(宗匠志らく)  10回(天2回、地1回、人1回、佳作6回)

3位
 写雅句(鈴木雅巳)   5回(地2回、人1回、佳作2回)

3位
 十州(辻 伸一)  5回(天1回、地1回、人1回、佳作2回

3位
 駄兄・談四楼  5回(天3回、佳作2回)

6位
 紫香(片岡)  3回(人1回、佳作2回)

7位
 莉加・酒井  2回(佳作2回)

7位
 紀之元・紀和栄  2回(天1回、佳作1回)

7位
 敷島・根本  2回(佳作2回)

7位
 入月亭(入月)  2回(地1回、佳作1回)

7位
 横目家(一琴)  2回(佳作2回)

7位
 夏未完(夏未)  2回(地1回、佳作1回)

13位
 葛樹丸(村上)
 箔長(長宗我部)
 生獣(高)
 山咲小春
 各1回