立川志らくの「ロサンゼルス・ラスベガス珍道中記」
(ミクシーの日記より)

「ロサンゼルス・ラスベガス珍道中記 その5」

ラスベガス2日目

 朝はゆっくりと。朝食と昼食を一緒に。パリスホテルのバッフェが一番美味しいという情報を得たので出かけることに。
 
 おもてに出る。暑い。ラスベガスのメイン通りのストリップを直進。左前方にモンテカルロホテル。右に元アラジンホテルで現在改装中のプラネットハリウッド。これを過ぎると昨日「オー」を観たベラージオが左に。右がパリス。エッフェル塔が立っていた。中に入るとそこは巴里。天井が青空の絵。MGM と比べると随分と落ち着いた雰囲気。目的のバッフェに。こじんまりしていた。でも高級なフランス料理店の趣き。人気のバッフェということもあり、すでに行列ができていた。日本では絶対に並んでまでして食べたりしない。しかしディズニーランドで並ぶことに慣れてしまい、なんの抵抗もなく列に並ぶ。比較的上品な人が並んでいる。だが、前にはアジア系のちょっと貧乏臭い大学生の男が二人。二人とも頭の毛が寝癖で立っている。キョロキョロして落ち着かない。順番がくると、この男達、店員に朝食券を出し、モーニングはここではないと言われ、すごすごと退散。わかりそうなもんだろうに。
 席につき、御馴染みコーラを注文し、ほとんど中毒になっている。もうコーラを飲まないと生きていけない感じがするのだ。。
 
 料理はどれも美味しかった。ほとんどがフランス料理なのでなにを食べたか思い出せないのだが、ぐちゃぐちゃになっている物も美味しかった。
 バッフェを出て、カジノに。ちょっとやるも、なんだか博打場にしては落ち着いていて楽しくない。すぐにパリスをあとにする。
 ベラージオの横のシーザースパレスへ。ここには巨大なショッピングモールがある。ショッピング、といったってブランド物や貴金属に全く私は興味が無いので退屈。妻は古着屋が好き。だからここではあまり立ち寄りたい店は無さそう。室内にはやたらにでかい噴水があり、そこの前で記念写真を撮っている観光客がたくさんいた。
 
 カフェで一服。妻はビール。私はまたまたコーラ。店の前方に強大な馬の像が立っていた。MGMのライオン像をひとまわり小さくしたものだ。頭に冠みたいなものを乗せている。妻がスフィンクスのパロディだといってきかない。私は馬がただ冠をかぶっただけだと主張。喧嘩になる。カイドブックで調べるも載っていない。載っていという事はスフィンクスのパロディではない、パロディならば掲載しているはずだ、勝ったと思ったが、そのことを口にすると本気の喧嘩になりそうなので、「あとで、ルクソールに行って、本物のスフィンクスをみようじゃないか」という私の言葉で喧嘩は終結。本物のスフインクスったって、ルクソールのは本物ではありません。
 
 ぶらぶらショッピングモールを散歩。すると一軒の映画ショップを発見。アル・パチーノのサイン入りのギターが売っていた。300万ぐらいする。買えません。ラナ・ターナのパネルを見つける。更にグラウチョ・マルクスのパネルも。本当はチコが一番好きなのだが、ありません。グラウチョよりハポーより断然チコです。
 店の片隅にアル・パチーノコーナー発見。凄い。「スカーフェイス」の人形まであった。250ドル・・・断念。「スケアクロウ」の人形だったら400ドルでも買いました。「スカーフェイス」の帽子、25ドル。かぶって鏡で見たらホッとドック屋のおじさんみたいだったので買うのをやめる。でも本当にアメリカ人はアル・パチーノが好きです。デ・ニーロやダスティン・ホフマンのグッズは全くない。アル・パチーノばかり。嬉しい限り。スターのマグネットもあった。ほとんどマリリン・モンロー。モンローのところにラナ・ターナのマグネットが。ちょっと似ているので。店の人が間違えたらしい。そっとラナ・ターナを他の場所に移しておきました。
 結局、購入したのはグラウチョ、ラナ・ターナ、そしてモンローの「百万長者と結婚する方法」のパネル、チャップリンのキッドのパネル、更にはアル・パチーノの写真、諸々。

 ショッピングモールを出て、街中のカジノをのぞき、暑さにふらふらになってホテルに戻りました。時計を見たらもういい時間。ただ飯を食いに出かけただけなのに・・・。
 
 部屋で休息して、夜は「カー」の観賞。時間は6時半開場7時開演。場所はMGMホテル内。これは楽です。時間までMGMホテルを散歩。プールを発見。妻が入りたがるが、私は水着姿になると地底人みたいになるから嫌だと拒否。じゃあ仕方ないと納得する妻。私の拒否の理由も、その理由に納得する妻も、普通じゃありません。
 
 時間は6時。まだ時間があるとカーシアターのそばのフードコートに。妻がオニオンリングを食べたいと言い出す。もうアメリカにきて5日目。ファーストフードでの買い物にはなれきっていたので、余裕で注文。すると店員が変な機械を私に渡して、その機械をやたら指差すのだ。パニックになる私。とっさに機械の上に指を乗せる。指紋をとられるのかと思ったら、違った。フードコートなので、このシステムは日本でもあります。品物が出来たら、その機械がピコピコ鳴るので、遠くにいても安心というやつです。店員は、オニオンリングが出来たらこの機械が点滅するから、いいですね、と私に言ったのだ。それなのに指紋をペタペタと押す私。妻に、どうしてファーストフードで指紋をとられなくちゃいけないの、分かりそうなもんだと笑われる。
 妻、笑いながらオニオンリングを食べる。それも中身だけ。衣は嫌いなんだと。私は揚げたオニオンが嫌い。だから衣だけ食べる。外人がこの光景を見たら、誰かあの日本人にオニオンリングの食べ方を教えてやれと思うだろうな。
 
 6時35分。余裕でトイレに。何気なくチケットを見て、青くなる。「カー」は8月7日と記されていた。今日は8月6日。間違えた。今日は「マンマミーヤ」であった。5日が「オー」で6日が「カー」で7日が「マンマミーヤ」だと思い込んでいた。どうもオカダヤでチケットをもらう時、変だと思った。「マンマミーヤ」が6日になっていた。店の人に、6日が2枚あるよと文句を言ったのだ。「カー」を6日と信じていたので、「マンマミーヤ」の6日に疑問を抱いたのです。店の人が、大丈夫です、6日は一枚ですと言われ、自分の見間違えだと思ってしまったのだった。
 
 とにかく「カー」は明日なのだから、急いで「マンマミーヤ」に行かなければ。鞄をさぐると、チケットがない。部屋のセーフティボックスに入れておいたのだ。大急ぎで部屋に。エレベーターに乗ると、こういった時に限ってたくさん人が乗ってくるのです。私の部屋は20階。13階で全員降りたのだが、中に悪ガキがいて、全部の階のボタンを押しやがった。一階ずつ丁寧に泊まり、妻をエレベーターホールに残してダッシュする私。ホテル内だというのに汗みどろ。チケットをとり、時計を見ると6時45分。会場はマンダレイベイホテル。ルクソールの向こう。間に合わないか。チケットを見ると、開演が7時半。助かった。これならば余裕である。ロビーにでて前を見るとルクソールのピラミッドが。その先にマンダレイベイがある。7時開演ならばタクシーを使うが、なにしろ7時半である。ふらふら歩いていっても余裕で間に合うだろうと、歩き出した。これが間違い。遠いのです。JTBの人にもいわれていた。
 ホテルが近くに見えても錯覚ですからねと。昨日、ベラージオでそのことは身をもって分かっていたのだが、でもピラミッドがすぐそこに見えるんだもの。タクシーにのってちょいとそこまでって、申し訳ないじゃないの。
 
 歩けども歩けどもピラミッドは近づいてこない。マンダレイベイはその向こうである。結局、劇場に着いたのが7時15分。30分かかりました。ヘトヘト。
 「マンマミーヤ」が始まる。ミュージカル。妻が「ゴッドファーザー」に出てくる芝居だから見ようと言われてそれで予約を。これは妻の勘違い。「ゴッドファーザー」とは全く関係の無い芝居です。「ゴッドファーザー」の中でリトルイタリーの場面がある。デ・ニーロが芝居見物をするのだ。その芝居の中で母親の死を知った男が叫ぶ、「マンマミーヤ」と。この芝居をラスベガスでやると信じていた妻。それを疑いもせず予約する亭主。プログラムを見て、おい、これ「ゴッドファーザー」と関係ないぞと言うも、もう手遅れ。始まる。
 「オー」を観た後だけにセットがしょぼく感じる。ダニーローズとあまり変わらない。センスはダニーローズの方がいいぞと思う。全編英語。プレスリーのヒットナンバーがたくさんでてきた。英語でも一生懸命みているとなんとなく筋は分かるもんですな。母親ひとりに育てられた娘が母の日記を読んで、自分の父親だと思える人が三人いることに気がつき、母親に内緒で三人の男に結婚式の招待状を送って、誰が父親かを捜す、といった物語。あんまり面白くない。時折、ギャグらしきことを言って爆笑をとっているのだが、意味が分からなくてもセコギャグということはわかる。最後の方、ちょっと睡魔におそわれる。どんなに歌おうが踊ろうが、アスティアやジーン・ケリー、エレノア・パウエル、ドナルド・オコナーを知っちゃっているから、感動しませんでした。演出があまい気がした。歌が多すぎ。笑い担当の男女が下品。以上。
 終ってまた徒歩で戻る。妻と芝居の感想を言い合うので歩いて帰るほうがいいのです。

 夕飯はMGMのレントランで。スタジオカフェという店。妻はサラダとビール。私はハンバーガーとコーラ。日本人とは思えない夕食。ハンバーガー、でかくてパサパサ。妻がチップを小銭で払おうとするから、店員は乞食じゃないぞと叱る。小銭だってもらえたら嬉しいというのが妻の主張。結局、1ドル紙幣を8枚ほどテーブルに置く。すると妻がお世話になったウエイトレスにちゃんとチップが渡るか心配だと、皿を片付けるおじさんに盗られるんじゃないかと言い出す。ちゃんとルールがあるから大丈夫と妻をなだめ、しかしちょっと心配になり、何べんも後ろをふりかえる私でした。

 少しカジノを。スロットは飽きたので、ゲーム機のブラックジャックをやる。妻がディーラーと勝負しろというが、勝てるはずがない。昔、正月になると落語家仲間でよく博打をやった。30万ぐらい負けたこともあったし、逆に30万勝ったこともある。自分が親になり、子供が7人で、場に10万ぐらい張られて震えた経験もある。だからカジノでディーラーと勝負したってそこそこ戦える。でも博打は親にならないと儲からないのです。ディーラーと勝負するということはずっとこっちは子供。これじゃあ儲かるはずもない。だからやりませんでした。機械でブラックジャックをやると冷静さにかけます。あっという間に30ドルほどやられる。

 部屋に戻り、あらかじめネットでコピーしてきた「マンマミーヤ」の粗筋を読む。だいたい合っていたので驚く。しかし芝居を観て、筋が合っていたと喜ぶ私って・・・。
 妻と遅くまで「マンマミーヤ」の悪口を言い合う。コーラとドクターペッパを飲みながら。それにしても筋が分かったと喜ぶ二人に批判されちゃ、演じ手はたまりませんやね。

つづく